火の昔 (角川ソフィア文庫)オンラインブックダウンロード

火の昔 (角川ソフィア文庫)

, 柳田 国男

によって 柳田 国男
4.1 5つ星のうち 1 人の読者
ファイルサイズ : 20.53 MB
内容紹介 電気やガスのなかった時代、人々は、火をどのように使って暮らしてきたのか。先人たちが生活の中心に据えてきた火にまつわる事柄や風習を紹介。柳田の鋭い観察力と膨大な知識をもとに、生活史をたどる。 内容(「BOOK」データベースより) かつて人々は、どのように火を使い、暗闇を照らしてきたのか。照明・煮炊き・暖房ほか、火にまつわる道具や風習の実例を丹念に集め、日本人の生活史を辿る。暮らしから次々と明かりが消えていく戦時下、「火の文化」の背景にある先人の苦心と知恵を見直した意欲作。 著者について 1875年兵庫生まれ。民俗学者。東京帝国大学法科大学卒業後、農商務省に入り、法制局参事官、貴族院書記官長などを歴任。1935年、民間伝承の会を創始し、日本民俗学の独自の立場を確立。1962年逝去。『新版 遠野物語 付・遠野物語拾遺』(角川ソフィア文庫)ほか著書多数。 著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より) 柳田/国男 1875年、兵庫生まれ。1900年、東京帝国大学法科大学卒。農商務省に入り、法制局参事官、貴族院書記官長などを歴任。35年、民間伝承の会(のち日本民俗学会)を創始し、雑誌「民間伝承」を刊行、日本民俗学の独自の立場を確立。51年、文化勲章受章。62年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです) 続きを見る
以下は、火の昔 (角川ソフィア文庫)に関する最も有用なレビューの一部です。 この本を購入する/読むことを決定する前にこれを検討することができます。
本書は、だいたい中学生ぐらいの少年・少女に向けて書かれた「火をめぐる日本人の生活史」だが、もちろん、それ以外の者が読んでもおもしろい。なにしろ、本書の執筆が昭和18年なのだ。それから考えれば、私たち現代人も、本書で取り上げられているような「たいまつ」だの「いろり」だのといった昔の生活用具についての知識は、十分に「中学生」レベルであろうから。つまり、まったく新鮮な(!)気持ちで読めるということ。事実、本書のいたるところに発見と啓蒙がある。とくに「ふろ」など、言葉の由来についての説明は「目からウロコ」ばかりだった。本書の論述は、唯物論で具体的である。そもそも、人はどこから火を手に入れたのか、いったん手に入れた火をいかに管理したのか、そして、そのためにいかなる道具を発明してきたのか。テレビや映画の時代劇でしかお目にかかれなくなった生活習慣や道具の意味が、わかりやすく、かつ詳細に述べられていくわけだが、一読者としては、むしろ「火の思想」とも言うべきものがもっとも感銘に残った。著者は、ある時代までの日本人にとって、この「火」がいかなる精神的な意味をもっていたか、いささかノスタルジックでロマンチックに述べているのだが、要するに「火」というものは、日本人の「家」を支えていた中心だと言うのである。逆に、伝統的な「家」の崩壊を「家の火の分裂」とも呼んでいる。この〈家=火〉というアイデアは、いかにも著者らしいし、また、ひどく印象的でもある。著者は、別の本で「無知であってはいけない」というようなことを繰り返し主張していた。本書を読んで、われわれのご先祖さまたちの苦労と工夫に、中学生っぽく感謝の気持ちを抱く必要はなかろうが、本書に書かれてあるようなことを知っているか・知らないかでは、まるで雲泥の差じゃないかなと思う。私たちが毎日を生きていくには、いろいろな局面で決断を下したり、計画を立てたりしなければならない。そういうときの判断材料のひとつとして、たとえば本書で述べられたような知識や知恵が必要なんじゃないかということだ。ちょっと大げさに言えば……。

0コメント

  • 1000 / 1000