朝鮮半島統一後に日本に起こること～韓国人による朝鮮半島論～ 韓国人による恥韓論シリーズ (扶桑社ＢＯＯＫＳ新書)

シンシアリー氏の今回の著作は、南北統一が現実性を増してくる中で、朝鮮半島の住民の中に煮えたぎる反日感情が、北の核兵器を目の当たりにして、いよいよ自分たちは、核を使って日本を屈服させられるという近未来を予言している。この歪み切った民族感情が露出してくる実現性は、本書の中に、「民族」と言う言葉が、朝鮮半島の住民たちの中でどのように理解され、どのような意識で使われているかを知るところから始まる。我々、日本人にとって「民族」という単語は、特定の地域に住む人々の文化的、人種的な集合体のような意味でしかないが、彼らが使う「民族」は、民族主義という概念すら超えて、感情、思想そのものまで同一の価値観で結ばれたもの、そして、同一の方向に向かうべき原動力のようなものと理解すべきものなのだと言う。恐らく、シンシアリー氏が「朝鮮民族」という言葉の背景を外国人、特に日本人に理解してほしいと思い、本書で詳しく解説しているのは、病的なまでに民族意識の高揚を叫ぶことで、極端な政治体制や経済格差の違いを意識することなく、同一の民族の悲願という曖昧だが、極めて感情的な側面に同調しやすい朝鮮人特有の意識構造があることを理解しないと、彼らの言動、行動は到底理解できないと思ったからだろう。確かに、韓国、朝鮮人ほど、「民族」と言葉を頻繁に使う人たちはいない。そして、民族を叫び、前面に出すことによって、民族として当然享受されるべき権利、利益、恩恵などなどが、不当な侵害によって得られないままになっているという理屈に辿り着く。そして、その不当な侵害の元凶は、日本ということになるらしい。文化人類学に出てくる「民族」という概念と全く違うイデオロギーになった「民族」が敵対勢力を封じ込める手段としての「民族意識」、「民族感情」を高ぶらせ、また、それを何の抵抗感もなく受け入れる韓国、朝鮮人の意識構造に巣食う強烈な優越意識とその裏返しにある劣等感の塊の前には、理論や科学など何も意味を為さないことを改めて思い知ったのだ。そうした感情の発露の矛先に日本があるということは、甚だ迷惑な話でしかないが、科学としての歴史も文化も掌握しようとせず、都合のいい部分だけ切り取り、悪ければ捏造して平然と書き換え、それを「歴史」と称してきた南北朝鮮の「知識」の実体を知れば、如何に奇態を演じ、空虚な絵空事を喚こうが、遠目から傍観していれば、これまではよかったかも知れない。いや、よくはない。その妄想と虚構を世界に喧伝され、一部ならず世界が巻き込まれて、日本の品格を著しく貶められてきた事実を見れば、真の被害者こそ、この日本であると声を大にして主張していかなければならない。ただしかし、それだけでは済まされなくなった。現実には、その「民族」が危険な兵器を作り、その妄想の世界で膨らませてきた敵を倒す手段を得た時、次に彼らが何をやるか、最早、傍観している場合ではなくなる。韓国は、辛うじてとは言え、自由主義、民主主義陣営の一角を構成し、その価値観を守るべく責任ある行動をとるものだろうという「幻想」を我々は抱き続けてきた。曲がりなりにも、同じ価値観を共有する国家に対して、敵対行動をとることなどあり得ないと考えるのが自然で、常識とされてきた。「民族感情」とやらの、我々からすれば根拠不明の憤怒とやらが牙を剥いて、日本に向けられる日が近づきつつある。本書の核心部分は、残念ながらそう予測している。そして、事実が何より証明する。韓国は、民主主義を捨て、法治国家の体面も捨て、北の独裁国家に同化しようとすることで、「民族の悲願」を達成しようとしている。極端な左派政権を支えるのが「民主主義」を標榜する韓国民という図式から見えてくるものは、「民族感情」に盲目的に流される国民情緒の幻想追認とその情緒に合わない法律の無視、更に、その国民情緒に違和感を抱き、反論する者は徹底的な排撃の対象になるという全体主義国家への退行現象である。シンシアリー氏は、韓国には右派はいなくなり、影響力を行使できる右派勢力は既に壊滅したとまで言い切っている。朝鮮半島の人々にとって、圧倒的な権力を握る支配者からの拘束は脱しきれないと諦め、だが、決して尊敬や畏敬の対象にはならない存在がこの半島の支配者であり、その屈折した心理が「恨」という意識を作ったと言う。「恨」と「民族」が結びつき、これに「支配欲」が加われば、残忍な剥き出しの感情が暴発する。小中華を自認する強烈な優越意識と、しかし、自分たちは正当に報われていないという被害者意識、生活水準も工業技術力もクリエイティブな文化発信力も日本が上にあるという見たくない現実を見せられ、そこから生まれる強烈な劣等感は、自分たちから全てを奪った上に、民族の誇りまで失わせた日本が繁栄することは赦さないというあまりにも一方的な敵対意識を形成していく。そこには、冷静に日本の姿勢を評価する目もなければ、歴史を見直す姿勢もなく、世界からも疎んじられている存在になってしまった自画像を見ることもしない。強力な支配者のもとで、強力な兵器を手に入れ、自分たちの優越感を満足させない「敵」を叩き潰すことが「民族の誇り」を取り戻す唯一の手段だと思い込んでいるのが、あの半島の住民たちの情緒のようだ。韓国の極端な左派政権が力を得、民主主義の恩恵を最大限に利用して、その民主主義体制を破壊しようとしている姿を韓国国民が喝采しながら見ているという恐るべき光景を目の当たりにしているわけだ。ヒトラーの再現は、金正恩ではなく、文在寅だったとは。「反日」のみが自らのアイデンティティーを確認できる唯一の手段という民族感情に、核兵器という狂った果実を得て、その先に起こる現実的な可能性は。本書の予測は、決して荒唐無稽な話ではない。民族の感情の発露の先に見えるものは、日本人を捕え、強制収容所に送り込み、拷問、強姦、虐殺の限りを尽くし、「日本民族」を地上から抹殺することだろう。「反日」の対象を失った後、この民族は何を自らのアイデンティティーにしていくのか。世界から孤立した民族が、次に被害感情を抱く対象は「世界」全てということになる。その結果はどうなるのか。朝鮮民族が地球から消える日が来る序章に、今、自分たちがいるのだということを気付く時があるのだろうか。